姫神の音楽

風の伝説



※画像は大人ツインベスト版、風の伝説のジャケットは左下

姫神先代・星吉昭の遺作となったアルバム。
前作からの大きな特徴としては
星吉昭が以前から関心を寄せて研究をしていた
ブルガリアン・ヴォイスを本格的に取り入れている部分である。
姫神ヴォイス曲も、星吉昭自身が作詞したものが三曲入っており
メッセージ性がよりストレートになっている。
ブルガリアン・ヴォイスを取り入れた星吉昭は
今後の姫神をどのような展開を思い描こうとしていたのだろうか…

ジャケットは赤く染まった空に山の風景。

1.めぐり逢う星の夜

日本語の歌詞による素朴で親しみやすい曲。
この手の素直な日本語の曲は今までの姫神にはなかった。
歌詞の内容からは、愛することの喜びとそのあり方を感じさせられる。

2.海を愛した日

沖縄音階のゆったりとした演奏にあわせ、
ブルガリアンヴォイスが大らかに歌い上げる。
歌詞の言語は不明だが、一部「海を愛した」と
日本語で歌っているように聞こえる。

3.風に消えた歌

前半は透明感のある笛の旋律
後半は中島和子による伸びやかなヴォイスと
壮大なスケールを感じさせられる曲。

4.青い河へ

山形県民謡「最上川舟唄」をブルガリアンヴォイスが歌う。
日本民謡とブルガリアンヴォイス、という発想には驚かされる。
メロディは一切なく、ヴォイスによるコーラスのみ。
原曲は日本民謡ながら、どことなく大陸を感じさせるような
透明感のある美しいコーラスである。

5.砂山・十三夜

まさに、現代に生まれた十三の民謡。
海に想いを寄せる女の心を歌い上げた歌詞は美しくも哀しく…
ヴァイオリンによる伴奏も素晴らしい。

生きて生まれた悲しみを 一つ二つ砂に書いても
寄せては返す波に消え 海はわたしを洗います―

6.潮騒

海を渡る風を感じさせる、疾走感のある切ない旋律。
後期では珍しくなってしまったインスト曲ではあるが
歌うように情緒的に流れるメロディーは健在で、心打たれる。

7.野辺は澄み渡り

これ以上ないぐらい至福に満ちあふれた、清々しい姫神ヴォイス曲。
ストリングスと爽やかなコーラスの組み合わせは
「この草原の風を」の続編といった所。
高原の青々とした空気と光の暖かさを全身に浴びているかのようだ。

8.大地はほの白く

雄大な旋律にどことなく希望をも感じさせるインスト曲。
イントロは透明感があるが、笛による節回しは力強さに溢れている。

9.神々の詩(ブルガリアン・ヴァージョン)

姫神の名曲「神々の歌」をブルガリアンヴォイスが歌い上げる。
力強さにあふれる原曲に比べて、こちらは透き通った印象がある。
曲の展開は元とあまり変わらない。
ブルガリアン視点から見た縄文、といったところだろうか。

10.風の人

星吉昭の遺作となった最後の曲「風の人」。
まさに、星吉昭自身の人生を描いた曲であろう。
ピアノの伴奏と共に中島和子が日本語で歌い上げる。
この曲を聴くたびに、星吉昭はこの曲が最後になることを
薄々悟っていたのではないかと思ってしまう…

東北風土に根ざした音楽を紡ぎ続けたシンセサイザー奏者「星吉昭」。
素晴らしい音楽の数々を残し、風の人となった彼の痕跡に
最大の敬意を示したい。

あなたと出逢う為に生まれてきた
あなたと生きる為に生まれてきた―

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