姫神の音楽

千年回廊



姫神活動開始から20年目の節目にして記念すべき20枚目のアルバム。
エジプト・イスラエルでのコンサートを前に
星吉昭が現地へ訪れたときの体験や記憶をまとめており
そのため本作は中東を題材にしたアルバムとなっている。

とはいえ前作までに所々で登場していたエスニックな要素はあまりなく
姫神ヴォイスやメロディを主体に姫神独自の視点で描かれている。

姫神ヴォイスを中心とした曲が半分を占める中で
ジャケットのように、深く染み渡るような
静寂を帯びた暗めなインスト曲が多い印象がある。
シンセサイザーによるデジタル音が目立っていた前作と異なり
今作は生楽器による演奏が増えている。

ジャケットは幻想的なクラゲの写真。

1.千年の祈り

これまでの姫神の集大成ともいえる大曲。
鐘の音のような深く響き渡るイントロから始まる。
前半部分はアラビックなパーカッションと共にストリングス・ブラスが
奏でる交響曲的なサウンド。
後半部分から脈動感のある姫神ヴォイスが加わり
より一層、壮大になっていく。
千年世紀を紡ぐにふさわしい一曲。

2.はじまりの朝

姫神ヴォイスとシンセ音による清々しい一曲。
パーカッションはダンストラックに近いが
コーラスと伴奏の笛の音色に民族的な趣を感じられる。
曲名と、中東が舞台であることを考えると
神聖な始まりの朝の刻、太陽の神が誕生する時を
祝福する曲であるように感じられる。
朝露輝く澄みきった朝に祈りの声が木霊する…

3.未来の瞳

先にリリースされたシングル盤と同一の内容。

4.一人静

弦楽器による、ゆったりとしたインスト曲。
ヴァイオリンの旋律は静寂の中の憂いを感じられる。

5.帰らぬ日々

戦火の耐えぬ中東の地域への悲しみと平和への祈りが込められた曲。
姫神ヴォイスとしては珍しく日本語の歌詞であり
それだけに非常にストレートに伝わってくる。

小さな命踏まれても 燃やして強く 強く生きる―

6.旅路

後半への橋渡しのような位置づけのトラック。
脈動的でリズミカルなシーケンスに合わせて
「セイヤラセイ」と威勢良く響く姫神ヴォイスが心地よい。
大陸的でありながら、ヴォイスの節回しが
どことなく日本的でもある。

7.月あかりの砂の中に

ここから暗めのインスト曲が続いていく。
きらきらとした音の中で流れる旋律は深い哀しみを感じられる。
アコースティックギターのメロディが心に染みる。

8.死海

ピアノとチェロによる、暗くどこか不安さをも感じられる旋律は
死の海をあてもなく漂っているクラゲのようで…

9.独想(おもい)

深く深く…静寂の中に染み渡る祈りの声。
この声の主は星吉昭本人によるものらしい。
チェロの旋律が哀しくてたまらない。

10.あの空の下に

長い長い旅路の末に行き着いた安息の地…
そんな情景を思わせる、優しく美しい曲。
前の三曲が暗めな曲なこともあってか、とてもほっとする。
戦火の後の平穏な未来、と捉えてもしっくりくる気がする。

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