姫神の音楽

久遠の空 -風の縄文Ⅱ-



風の縄文シリーズ第二弾、久遠の空(ときのそら)。

土着的で低音の多めであった前作とは変わって
今作は全体的に清々しく爽やかな曲が多い。
前作が土だとすれば、今作は風といったところだろうか。
ヴォイス入りの曲も増え始め、姫神ヴォイスの前身
エミシヴォイスの中島和子によるソロパートもいくつかある。
また、以前ラジオドラマ「アドルフに告ぐ」にて
「火降り神事」を歌詞付きで歌ったことがある
ボヘミア・ヘルツェゴビナ出身のヤドランカがゲスト参加している。

ジャケットはシンプルに東北の青空。
冊子には盛岡周辺の風景と星吉昭の写真が載っている。

1.風の彼方

ジャケットのような青くひらけた空を思わせる、爽やかな曲。
中島和子による歌唱と透き通ったシンセのメロディが心地よい。
バックの生ストリングスも違和感なく調和している。
歌詞は短くシンプルな文章ながらも
空の彼方遠くへと想いを寄せるような儚さを感じさせる。

2.花の久遠

まるでジグのような盛り上がりを見せる民族調のメロディに
ヤドランカのささやきのような艶のあるヴォイスが華を添える。
所々に入るエミシヴォイスのコーラスも味を出している。

3.祈り遥か

オットフォンバイラによるこぶしの回った大らかなヴォイスが印象的。
遥か草原、大空に祈りの声が木霊しているかのようだ。
ずっしりとしたリズムパートも良い。

4.この草原の光を

かつて天気予報で使用されていた曲。
アルバム中でも特に清々しさを持ったトラックで
のびやかなエミシヴォイスのスキャットと煌びやかな旋律、
ストリングスの掛け合いが心地よく、どこか喜びに満ち溢れている。
草原の光を身に浴びているかのような感覚にさせてくれる。

5.春の風

少しアップテンポなヒップホップ調のぶっといリズムに
こぶしを回す笛の音色が風のように吹く爽やかな曲。
シンセ音による伸びやかなメロディも印象的。

6.幻野

ゆったりとした幻想的な曲。
素朴な笛の旋律と、坂田美子による琵琶の音色が印象に残る。

7.十三の子守唄

ボヘミア出身の歌手、ヤドランカが日本語で歌う子守唄。
母性を感じさせる柔らかな歌声は非常に心地が良い。
間奏あたりから少し軽快なビートが入りはじめる。
合間に入る二胡の旋律がまた哀愁を帯びていて味を出している。

8.風恋歌

三拍子の浮遊感あるリズムに乗せ、中島和子が歌い上げる。
アップテンポではあるが、こぶしの回ったヴォイスは民謡的。
合間に入る琵琶の音が情緒的。
遠く彼方へ消えた想い人へ、風に乗せて歌う恋の歌といったところか。

9.虹祭り

エレクトロなダンスポップ系ナンバー。
威勢の良い男たちの掛け声と、こぶしを回す笛の旋律が
独特な神楽の情景を築き上げている。
お祭りをクラブミュージックっぽくしたような印象。

10.まほろば(atmosphere mix'97)

大曲「まほろば」の第一主題部分をメインにリメイク。
イントロからいきなり原曲の中盤間奏部分のメロディが流れ
鳥の声が理想郷の空気を感じさせる、冷たく美しい雰囲気。
そのあとはほぼ生ストリングスによる第一主題の演奏が主役の
軽快なアレンジ。
原曲とは大分展開が違うので別物として聴いたほうがよいかもしれない。

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