姫神の音楽

マヨヒガ



マッシブなビートを取り入れた野心作。

マヨヒガとは、遠野物語に登場する、山中の不思議な家の事。
鶏や牛、馬の姿はあれど人の姿はどこにもなく
この家の膳腕を手に入れれば長者になれるというが
それを狙って探しても見つからないという。

従来の姫神の作風と大きく異なるのは
ハウスやヒップホップといった
クラブミュージック的なリズムを取り入れた点。
全体的に今までなかったようなキックの強い曲が多い。
星吉昭の実験的精神や「東北民謡はブルース」という言葉を
感じられるアルバムである。

ジャケットは横尾忠則によるコラージュ。
「姫神社」と書かれた鳥居の元に像や土偶が並んでいたり
左右には裸身像(?)、上には鳥が羽ばたいてたりと賑やか。

1.明けの方から

威勢の良い掛け声から始まり、力強いビートと共に
畠山孝一社中による「秋田大黒舞」の節が流れる渾身の一曲。
まさに「マヨヒガ」の作風を暗示するかような強烈なトラック。
こぶしを回す尺八風の旋律も良い味を出している。
ライブ版では「秋田大黒舞」の歌詞を歌いきっており
こちらは「浄土曼荼羅」や「神の祭、風のうた」に収録されている

2.琥珀伝説

三拍子の大らかなリズムにのせて
許可による二胡の旋律が流れるとても神秘的な一曲。
琥珀の産地である岩手県久慈市をイメージしたものらしい。

3.雪

激しいキックに、しゃんしゃんと響くタンバリン、
冷たいストリングスとこぶしを回す尺八風メロディにのせて
まるで老婆の語りのような畠山孝一の唄が流れる。
シンプルな曲名に反して非常に激しい一曲で
従来の雪のイメージとはまた違った、東北の雪の厳しさを思わせる。

4.花鳥巡礼

どこか日本庭園を思わせるような、ゆったりとした雅な一曲。
前半の弦楽器による音色、後半の二胡による旋律が
それぞれ平穏を表しているかのようで癒される。

5.白鳥招来

「ふるさと伝承」のテーマ曲。
イントロは土着的な日本を感じさせる、懐かしいメロディ。
高く響きわたる笛の旋律も清々しさがある。

6.山の神

ゆったりとしたリズムにのせて流れる大らかな旋律が
神秘的な山を思わせる曲。
遠野物語に登場する山の神をイメージしたものだと思われる。
中盤に流れるエレクトーンのメロディがかなり良い。

7.日高見国

ジャケットをそのまま曲にしたような、いかにも古代日本的な一曲。
蝦夷の地である日高見を縄文のイメージでとらえた感じだろうか。
ぶっといビートにのせて響くユニークな音色が非常に濃い。

8.都母之謡

星吉昭が言っていた「東北民謡はブルース」という言葉を体現した一曲。
レゲエ風のリズムにのせて、主役である笛が終始こぶしを回している。
始めは印象が薄いかもしれないが、よく聴くと音の組み合わせや
展開の進行が絶妙で、聴けば聴くほど良さのわかる奥深い曲。

9.蒼月、中天にありて

「愛と死の決断!ハンガリア舞曲をもう一度」テーマ曲。
いわゆる同じフレーズの繰り返しを使った曲。
終始流れる細かいシンセ音と、所々に使われる尺八風の音色が印象的。

10.風のうた

「海道」のボーナストラックに収録されていた「群星」のリメイク。
同時に宮城県をかつて走っていた「くりはら田園鉄道」のテーマ曲。
はねたようなリズムが軽快なアレンジ。
明るめの旋律に、風の音色が流れる様はまさに
風が歌っているかのような印象を受ける。

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