姫神の音楽

東日流(つがる)



かつて日本古代から中世において降盛を誇っていた
青森の津軽・十三湊(とさみなと)を舞台にしたアルバム。

東北民謡の精神性を表した「北人霊歌」という単語は
このアルバムから語られるようになってくる。
また大陸と津軽の繋がりを意識しており、
二胡奏者の許可(シュイクゥ)、モンゴル出身の歌手・オユンナなど
海外アーティストがゲスト参加をしている。
姫神に海外アーティストが加わるのは初めての試みである。
民謡界からは岩手民謡の名手・畠山孝一が参加。
また、姫神・星吉昭の長男、星吉紀も本アルバムから加わる。

ジャケットは北の海に、空から光が差し込んでるもの。
アルバムの冊子には『炎立つ』の作家でもある高橋克彦と星吉昭との
対談が収められており、東北人の精神への想いが感じられる。

1.十三の春

星吉昭の長男、星吉紀が初めて作曲した曲。
北国の長い冬が終わり、ようやく春が訪れた…
そんな喜びを感じさせるような、清々しさがある。
ゆったりとした旋律と、途中から加わる二胡の音色が美しい。

2.北の海道

北の海に開ける空を思わせる、清々しい曲。
同じフレーズの繰り返しがどこまでも広がる空を思わせる。

3.東日流笛

笛とハープによるしっとりとした曲。
この曲の笛は生ではなく、シンセサイザーによるものなのだが
強弱のつけ方が絶妙で、最初聴いた時は本当に笛で吹いているのかと
勘違いしてしまったほどである。

4.遠い唄

囃子風のリズムにのせて、畠山孝一による
力強くも哀愁を帯びたこぶしのあるボイスが響く。
まさに「北人霊歌」の精神を体現した一曲。

5.十三の砂山~雁供養~

「姫神伝説」に収録されていた同曲のリメイク。
原曲に比べ派手さを抑えた比較的穏やかなアレンジ。
許可による二胡の演奏が加わっているのが最大の特徴。
雁供養とは雁風呂の事で、海岸に残っている木片は雁が死んだものとして
供養のために流木で炊いた風呂を諸人へ振舞うという津軽の風習。

6.幻想・東日流

7曲から構成されている組曲。
「北天幻想」と違い、曲同士が連続して繋がっている。

一.鎮魂

原題「あどはだり」。
ムックリが印象的なイントロから、津軽三味線の演奏が入る。
原曲と違い三味線の独奏ではないが、存在感はしっかりとある。
波のように激しくうねる三味線の旋律は迫力がある。

二.海の刻

前半は荒れ狂う嵐のような激しい音が、海への畏れを感じさせる。
ごうごうとした雰囲気はどこか銀河鉄道を連想する。
後半はシンセの細かい音色が入り少しゆるやかになる。

三.哀想

悲壮を帯びた笛の音色から、「月まんどろに」へと繋がっていく。

四.月まんどろに

畠山孝一によるボイスがより悲壮感を際立たせ
「天地礼讃」にも見られたファンファーレで一気に盛り上がっていく。

五.十三夜曲

一転して静寂の中、ハープと二胡の演奏が流れる。
許可による繊細な二胡の響きは、夜の湖に哀しみを寄せるかのようだ。

六.風の子守唄

姫神に明確な歌詞が登場するのはこの曲が初めて。
風や波に乗せて故郷の大草原へ…オユンナが大陸(モンゴル)にいる
母への想いを力強く歌い上げる。

七.流転

ラストは津軽三味線の演奏でフィナーレ。

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