姫神の音楽

雪譜



様々な表情を見せる、北国の雪を音で描いたアルバム。
収録されている曲すべてが、雪をテーマにしている。
時に冷たく、時に暖かく、日本の雪を透明感あふれるシンセサイザーで
紡いだ旋律はどれも非常に素晴らしく
情景音楽の一つの完成系ともいえる。

ジャケットは金箔に雪を思わせる羽のようなものが舞っている。

1.細雪

一定のフレーズの中に一つずつ置かれた音が
静寂の中にしんしんと降り積もる雪を表現しているかのように感じる。
ひとつひとつ、雪を目で追いかけていた幼い頃の思い出がよぎる。
終盤前、一瞬無音状態になる「間」の演出が非常に秀逸。

2.青らむ雪のうつろの中へ

叙情溢れる日本的旋律がこぶしをきかせ、強く儚く流れる。
雪の夜、澄んだ空気をその身に浴びているような気持ち。
どこまでも降り積もる雪の中をみつめて、とても不思議な感覚に陥る。

3.雪光る

童心を擽られるとても温かい曲。
日の光が雪を反射する中で遊ぶ子供たちの情景が浮かぶようだ。
特に大サビと終盤の盛り上がりは絶品。
その昔、天気予報で頻繁に使われていたらしい。

4.雪桜

この曲もまた、静寂の中に漂う雪の情景が浮かぶ。
音の強弱のつけ方が絶妙で、口笛のような旋律が
どこかノスタルジックな気持ちにさせてくれる。

5.ひとひらの雪

前半は繊細な雪の旋律と、それを包み込むようなクワイア。
そして後半はアルペジオが加わり、静かに盛り上がっていく。
侘び寂び、日本的叙情を感じる絶妙な構成になっている。

6.雪野

降り積もった雪、どこまでも続く白い絨毯…
雄大な広がりをイメージさせられる温かい曲。
大らかなストリングスの旋律はまさに雪が織りなすオーケストラ。

7.雪中の火

音の数がかなり抑えられており
アルバム中特に静の部分を感じる曲。
メロディと言えるような部分もなく、非常に繊細。
夜中、ふわりふわりと微かに雪が光るイメージ。

8.風花

水のように流れるようなピアノの音が心地よい曲。
ピアノの裏で低音を響かせているベースも味を出しており
さらに後半から風のように加わる笛の旋律が絶品。
所々盛り上がってくるドラムが良く、組み合わせが絶品。

9.ましろに寒き川

アルバム中でも特に冷たく、悲哀感に満ちている曲。
これほどまで「冷たい」と感じる曲は、他に聴いたことがない。
それぐらい、冷たく、哀しい曲なのである。
何故だか、この冷たさがとても愛おしく感じる。
最後にほんの一瞬、少しだけ明るくなる部分がまた素晴らしい。

10.沫雪(あわゆき)

エンディングを締めくくるは、春の訪れを感じさせる雪。
溶けた雪のような柔らかいアルペシオに、優しい旋律が印象的で
「ましろに寒き川」と続けて聴くと一層温かく感じられる。
最後はボレロ風のリズムが混じる部分に
どこか春の訪れの喜びを表してるかのよう。

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