姫神の音楽

奥の細道



姫神せんせいしょんの記念すべきファーストアルバム。
最初期のアルバムということもあり
全体的にジャズ・フュージョン色が強めだが
当時のアナログシンセ音がみちのくの情趣とマッチしており
姫神初期特有の要素が既に感じられる。
後にも先にもない、ユニークなアルバムともいえる。

ジャケットは茅葺き建物に霊魂が集結しており
背後には大きく惑星が描かれている。
懐かしさとサイケデリックさが組み合わさった、独特な趣がある。

1.ありそ (荒磯)

磯に打ち寄せる波の音、海鳥の声、シンセ笛の旋律が始まりを予感させる
いわゆるイントロダクション的な位置づけの曲。
SE含め音は全てシンセサイザーでできているそうだ。

2.奥の細道

当時、岩手ラジオや東北本線の列車到着時などに使われ
文字通りのセンセーションを巻き起こしたという初期の代表曲。
一度聴いたら忘れられないような、キャッチーなテクノポップで
イントロからぽんぽんと鳴る音が印象的で楽しい気分にさせてくれる。
曲名は松尾芭蕉のものから取ったのだろう。

3.リ・ア・ス

寄せては返すような旋律が、海岸に打ち寄せる波を感じさせる。
リアス式海岸はまさにこのような情景であったのだろうか。
テクノポップな色から鉄道のリアス号のほうが連想させられる。
最後の余韻とエレキギターが印象に残る。

4.紫野

のどかな田園風景を思わせる、ゆったりとした一曲。
岩手の民謡、外山節が副旋律に使われており
「シンセサイザーで東北民謡を」という言葉を体現できる。
田舎の田んぼ道、田園風景がちょうどこの曲のイメージにぴったり。

5.邪馬台国の夜明け

比較的ジャズ・フュージョン色の強い印象があるが
どことなく妖しげな雰囲気も感じられる、味わい深い一曲でもある。
曲名のつけかたもユニークで面白い。
後半のシンセ笛の音とパーカッションが良い味を出している。

6.Gun-Do

曲名の由来は、岩手県中央やや北にある岩洞湖だと聞く。
アップテンポで激しいビート、うねるエレキギター。
今の姫神からすると想像がつかない異色な曲に感じられる。
そのテクノっぽさから当時、パソコンの番組に使われていたようだ。

7.岩清水

民謡風旋律と、小切れの良いパーカッションが心地よい一曲。
岩の間から沸き出る清水の清々しい感じが出ている。
中盤あたりの尺八風シンセとパーカッションの組み合わせが実に心地よく
終盤にパーカッションが賑やかになっていく部分がたまらない。

8.行秋

郷愁を感じさせる美しい旋律に、鳴り響くお寺の鐘の音色…。
ジェットのような音が実に効果的に使われている。
古きよき日本の情趣というべきか、昔のアナログシンセだからこそ
表現できる音楽ではないだろうかと思える一曲。
今の洗練されたシンセサイザーではこの古めかしく懐かしい音は
もう出せないんじゃないかと思う。
この切なくも旅情を誘う感じこそ、日本の心という感じがする。

9.蛍

童歌のようなイントロから始まり
親しみやすい旋律から夏の爽やかな空気を感じさせる一曲。
中盤の寄せては返すような、透き通るシンセの音が心地よい。
「そこが知りたい・各駅停車路線バスの旅」という番組で
頻繁に使われていたようだ。

10.やませ

吹き荒ぶ風と和太鼓の音が、静かにエンディングを締めくくる。
やませ(山背)とは冷たく湿った東北風の事。

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