月詠龍

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吉良知彦お別れの会…ZABADAK かたみわけに行ってきました。
あれからひと月が経ちましたが、未だに悲しみが癒えていないので
かたみわけでちゃんとお別れを告げようと、思っていました。

上野洋子さんが脱退した93年ののれんわけ、
そして吉良さんを見送るかたみわけ……

会場はサンシャイン劇場、自分が到着したころにはすでに
長蛇の列ができていておりました。

 

劇場のロビーでは献花ならぬ「献音」をする場所が設けられておりました。
吉良さんが今年の誕生日プレゼントに小峰さんへと
プレゼントされたものだそうです。
そっと振ってみると、とても綺麗な音が響きます。
きっと吉良さんにもこの音色が届いているはず…… 

 

吉良さん愛用のギターと足鈴。
見てると、あの時の演奏姿が浮かんできます……

 

吉良さん自慢のコレクションたち。

他にもアルバムジャケットの原画や直筆スコア、色々な思い出が
沢山飾られておりました。
もっとじっくり眺めていたいところですが混雑しているので中へ。


最初は
総合司会である、キャラメルボックスの加藤さんによる
注意事項やタイムスケジュールなどの解説。
吉良さんは湿っぽい空気は嫌がるだろうからと
緩やかなトークで場を和ませていきます。

第1部はZABADAKのアルバム制作などに関わったスタッフのトーク。
スタッフならではの貴重なZABADAKや吉良さんにまつわる逸話を
沢山聞くことができました。

中でも衝撃的だったのがジャケットのデザイナーである
吉田直之さんによる、ZABADAKのベスト盤「Remains」のトーク。

  

このアルバムは僕も持っていて、「Harvest Rain」をはじめ初期のシングル収録曲や「星狩り」などのレアなトラックが収録されており
お気に入りの1枚。 
ジャケットの化石がとっても綺麗。

この化石、吉良さんが吉田さんの元へ持ち込んだものらしく
それをバイクで運んで家に持ち帰ろうとした吉田さんを吉良さんが
そんな雑な運び方じゃダメだと止めて、わざわざ家まで一緒に
運んだそうな……このエピソードだけでも、ジャケットにも相当こだわりがある方だったんだなぁと思いました。

そして何より衝撃的だったのが、この化石の反射している部分は
実はおかきの容器のフタだそうな……
この事は吉良さんにも伝えてないそうで、今だから暴露しちゃいますとのこと。
おかきのフタでこんなに綺麗に映るんですね…… 

第2部はZABADAKにゆかりのあるミュージシャンによるトーク。
ここで小峰さんも登場。
出てくる話題がお酒や酔った状態の吉良さんの事が多く
本当にお酒がお好きな方だったんだなぁと……
新居昭乃さんが酔った吉良さんに「大丈夫?」と訊ねて
「大丈夫であることがそんなに大事なんだろうか?」 と答えた話は
ああ、そういう生き方をしている人なんだなと感じました。 

第3部は吉良さんと関わりのあった方たちの一言コメント。
光田康典さんが師である吉良さんへと言葉を贈っていた時は
声が震えており、自分も胸が苦しくなってしまいました。
他の方たちも吉良さんへの様々な想いを語り、まだ自分の中では吉良さんは演奏しているからお別れはしないと笑顔で贈る方もいれば、堪えきれずに涙を流す方もおり、本当に、大きな存在だったと……
勿論、僕自身にとっても。

そしてのれん分け前のZABADAKに深く関わり、あの世界感を築き上げたという
ムーン時代のディレクターである高松俊のトーク。
アルバム制作のためにアイルランドなどのいろんな場所を
旅してきたんだなぁと……
そして「流行りの音楽は時代と共に廃れるけれど、アーティストがその時の感性で全力を込めて作り上げたものはいつまでも残り続ける」 という事を仰られ……
あの「遠い音楽」はもう90年の曲だけれど、今でも色褪せずに
ずっと心に響き潤し続けるのは、そういうことなんだろうなと…… 

第4部はいよいよ演奏、そして会場みんなで合唱。
1曲目は「光降る朝」、続く2曲目「Tears」では吉良さんの息子の草太郎さんがギタージャンプをキメておりました。
そして3曲目は「遠い音楽」……ここでなんと、上野洋子さんがステージに……
23年前ののれんわけ後以来、一切ZABADAKに参加していなかったあの
上野洋子さんが……!?

一瞬、目を疑いました。
のれんわけで離れた上野さんが、かたみわけで再びZABADAKの場に、という奇跡。
もはや二度と生で聴くことは叶わないと思っていた、上野洋子さんの歌う「遠い音楽」。

あれからZABADAKや吉良さんと関わりがなかっただろうし、訃報の時も音沙汰がなく、どういう思いでいらしていたかわからなかったけれど
ステージで涙を流しながら小峰さんと抱き合っていた所を見ると
この本当に長い間ずっと、堪えてきたものがあったんだろうなと
すごく伝わってきました。

そして歌い終えた後、皆を紹介してここで小峰さんから一言。
これまで司会を進行していた小峰さんもここでは涙を流されていました。
ZABADAKは一度も流行った事ないけれど、それでもみんなが選んで聴いてくれるから続けられてきたのだと……
そして、吉良くん不在だけど来年は31周年記念ライブをやるから、と……

ZABADAKの1/2として、そして吉良さんの妻として。
「かたみわけ」の場は本当に特別なものであり
その想いや哀しみは計り知れないものですが……
体としての入れ物がなくなっただけで吉良さんは音の中に生き続けており
これからもZABADAKは続いていくんだと
そう実感しました。

そして最後は「ポーランド2011」。「降り注ぐ百万粒の雨さえも」のために書き下ろされた新バージョンで小峰さんが選んだのだそう。
「ZABADAK風部」というリコーダーを持った方々が客席から次々と参加、皆で演奏……壮観でした。

「かたみわけ」思い出話に沢山笑って、泣いて、本当に素敵な1日でした。
小峰さん、キャラメルボックスの加藤さん、ミュージシャンやスタッフのみなさん、そして何より吉良知彦さん。
本当にありがとうございました。

  

会場でいただいた、吉良さんのポストカードとアルバム「音」のマスターテープの一部。

   

音のかたみわけ。宝物です。ずっとずっと、大切にします。

吉良さん、素晴らしい音楽を本当にありがとう

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